なぜExcelでは収支が締まらないのか?集計遅延を断つ実務解

2025/09/10 収支管理 Leead Magazine 編集部
なぜExcelでは収支が締まらないのか?集計遅延を断つ実務解

目次

  1. Excelが選ばれてきた理由と、いま起きている”限界”
  2. 限界① 手作業とヒューマンエラー(数式崩れ・参照迷子)
  3. 限界② 集計遅延と”締め再現性”の欠如
  4. 限界③ 版管理・権限・監査性の脆弱さ
  5. Excelから脱却するための90日移行ステップ
  6. システム化で実現する運用と効果指標(KPI)/まとめ

プロジェクト単位での収支管理をExcelで運用する。多くの企業で長らく採用されてきた現実的な選択です。

しかし、案件数の増加・関係者の多様化・締め業務の高速化ニーズが高まるにつれ、表計算の限界が露呈します。本記事では、Excelが抱える構造的な弱点と、システム導入で何が解決されるかを実務視点で整理します。

※ プロジェクト収支のExcel管理については、以下の記事もぜひご参照ください。 効率的な収支管理を目指す!収支管理システムとエクセルとの違い エクセルでのフォーキャスト収支管理について

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Excelが選ばれてきた理由と、いま起きている"限界"

選ばれてきた理由

  • 導入が速い
  • 初期コストが低い
  • 担当者が直感的に編集でき、カスタマイズ自由度が高い

しかし限界が顕在化

  • 案件や関係者が増えると同時編集・整合性の維持が困難
  • 列追加・シート分割・他ブック参照の増加で関数や数式が脆くなる
  • 締め期日に間に合わない集計遅延、担当者不在で止まる属人化
  • 承認・監査ログ・権限など、業務統制の要件を満たしにくい

結論:Excelは“個人の作業台帳”としては強力ですが、組織的な収支運用の基盤としては限界があります。

限界① 手作業とヒューマンエラー(数式崩れ・参照迷子)

よくあるヒューマンエラーの事象と影響をまとめました。

事象具体例影響
数式崩れ列追加でVLOOKUP/INDEX参照がずれる原価・利益率の誤表示、差異検知が遅れる
参照迷子外部ブックリンクが切れる/パス変更最新値が反映されず“見込み”と“実績”が混在
手貼り転記ピボット→台帳へのコピー&ペースト桁ミス・貼り忘れ・重複計上が起こる
命名ばらつき案件名・勘定科目の表記ゆれ集計が統合できず二重管理化

ポイント:Excelは“正しく使えば正しい”が前提。関係者が増えるほど運用の再現性は低下します。

限界② 集計遅延と"締め再現性"の欠如

集計のバッチ化:ファイル収集→統合→整形→チェックという人依存の直列作業になりがち

具体的な課題は以下の通りです。

  • 締めの滞留:承認者の不在、メールベースの依頼で「誰の作業待ちか不明」
  • 見える化不足:案件別の未完了タスク(検収・請求・外注計上・経費精算)が一目で分からない

結果、締日前後の短い期間に作業が集中し、毎月“同じボトルネック”が再発します。

限界③ 版管理・権限・監査性の脆弱さ

版管理:最新版の所在が不明、差分比較も困難

具体的な課題は以下の通りです。

  • 権限:行・列・レコード単位の粒度あるアクセス制御ができない
  • 監査性誰がいつ何を変更したかのログや承認フローの証跡が残りにくい
  • SLA運用:承認24時間以内など運用ポリシーを仕組みで担保できない

ガバナンスが必要な“プロジェクト別PL運用”では、統制機能は必須です。

Excelから脱却するための90日移行ステップ

以下のステップに沿ってExcelからシステムへ移行するとスムーズに運用を回せるようになります。

Excelから脱却するための90日移行ステップ

期間到達点主なタスク
Day 0–30(設計)最小限のデータモデル確定プロジェクト台帳/契約・見積/工数・外注・経費/売上計上・検収/共通費配賦ルールを定義。命名規則・格納先・RACIを明文化。
Day 31–60(可視化)ダッシュボード稼働案件別P/L・未完了タスク(検収待ち・請求草稿・外注計上・承認滞留)を一元表示。アラート閾値を設定。
Day 61–90(定着)代理運用が回るワークフロー・代理承認・監査ログを有効化。Excel入力は最小限の一時窓口に限定し、以降はシステムを唯一の正(Single Source of Truth)に。

移行のコツ

  • まず2〜3案件でパイロット運用→成功パターンをテンプレ化し全社展開
  • Excelは閲覧・一括貼付の補助にし、集計・承認はシステムに寄せる
  • “やめるExcel”を明確化(撤廃リスト化)して並走期間を短縮

システム化で実現する運用と効果指標(KPI)/まとめ

システム化でできること

  • 一元管理:プロジェクト別の予算・実績・差異をリアルタイム集計
  • 可視化:未完了タスク/差異の大きい項目を自動ハイライト
  • ワークフロー:承認・代理承認・SLA・監査ログを標準搭載
  • テンプレ配布:計上基準・命名規則・書式を全社に展開
  • 連携:会計・勤怠・工数ツールとAPIで同期

KPI例

  • 締め遅延件数/承認滞留時間/差戻し率
  • 未計上件数/差異検知までのリードタイム
  • 手作業時間(集計・転記)の削減率

まとめ

Excelは強力な個人ツールですが、組織の収支運用には限界があります。手作業・ミス・集計遅延という“表計算の壁”を越えるために、可視化・ワークフロー・監査性を備えた基盤への移行が不可欠です。

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塩塚 丁二郎

監修:塩塚 丁二郎

早稲田大学卒業後、野村総合研究所でSEとしてキャリアをスタート。2015年に独立し、IoTスタートアップ、音声アプリ開発を経て、PM支援・SI事業を軌道に乗せる。電子契約サービスCloudContractの実装、運用を手掛け、2020年からはプロジェクト会計・フォーキャストに特化したLEEADを運営。現在はDX・AI領域、カフェ店舗運営など、複数の事業を展開している。

株式会社ETVOX 塩塚 丁二郎