月次締めの引き継ぎストレスを仕組みで消すプロジェクト収支管理

2025/09/03 収支管理 Leead Magazine 編集部
月次締めの引き継ぎストレスを仕組みで消すプロジェクト収支管理

目次

  1. 月末月初に“引き継ぎストレス”が生まれる構造
  2. 属人化の典型パターンとリスク
  3. 解決の3原則:標準化・可視化・権限設計
  4. 月次締めD-5〜D+3運用と“引き継ぎパケット”
  5. システム活用と90日導入ロードマップ
  6. まとめ

月末月初は、請求・検収・経費締め・工数確定など“締め業務”が集中し、担当者の不在(長期休暇・突発休)によって現場と経理の双方でボトルネックが発生しがちです。結果として「誰に聞けば進むのか分からない」「承認が滞留して計上が遅れる」「属人メモが読めず手戻りが出る」といった、いわゆる引き継ぎストレスが積み上がります。

本記事では、プロジェクト単位で収支を管理する企業の“月末月初あるある”を整理し、担当者不在でも止まらない収支管理体制をつくる実務ポイントを解説します。

※ プロジェクトの予実管理・収支管理に関する基礎知識については、以下の記事もぜひご参照ください。 予実管理とは?経営判断に欠かせない重要な手法の解説 プロジェクト収支管理とは?基礎から課題克服の実践的なアプローチ

月末月初に“引き継ぎストレス”が生まれる構造

締め業務の同時多発:請求起票、検収確定、工数ロック、外注計上、経費精算が同時期に集中するため、引き継ぎストレスが発生します。

問題の具体例

  • 情報の分散と暗黙知:最新の仕様変更や計上判断が、担当者の頭の中・個人メモに偏在。
  • 承認依存:単一承認者に依存し、休暇・会議で承認が滞留。
  • 見える化不足:どの案件のどのタスクが未了か、誰にも一目で分からない。

✔️ 結論: 休暇は“例外”ではなく“定常”と捉え、不在前提で回る設計に変えることが根本解決です。

属人化の典型パターンとリスク

属人化の典型パターンとリスク

属人化パターンよくある実態発生リスク
計上判断の属人化仕様追加の扱い、検収の切り方が担当者だけの判断計上漏れ・重複・利益率の乱高下
原価情報の散在外注・経費がメール/口頭/スプレッドシートに点在月ズレ・未計上・証跡欠落
ワークフロー単線承認者が一人、代理不在承認滞留・締め遅延
暗黙テンプレ案件ごとに異なる台帳・命名・ルール引き継ぎ困難・検索不能

それではどのように解決すればいいでしょうか?

解決の3原則:標準化・可視化・権限設計

① 標準化(テンプレート化)

  • 見積・仕様変更記録・検収要件・計上基準・原価区分を共通テンプレに統一。
  • 案件命名規則・ドキュメント格納場所・版管理ルールを明文化。

② 可視化(ダッシュボード化)

  • 月末月初の未完了タスク(検収待ち/請求草稿/外注計上/承認滞留)をステータスで集約表示
  • “誰の作業待ちか”を担当者別のステータスで見える化。

③ 権限設計(代理運用)

  • 代理承認/代行入力をポリシーで定義(期間・範囲・監査ログ)。
  • RACI(責任/説明/協力/承認)を案件ごとに1枚で明文化。

✔️ ポイント: 個人の努力ではなく、**“誰でも同じ手順でできる”**状態に落とし込む。

月次締めD-5〜D+3運用と“引き継ぎパケット”

タイムラインの例

日程主要アクション成果物 / チェック
D-5仕様変更の最終確定、今月の検収対象洗い出し変更記録、検収リスト
D-3工数ロック、外注受領書の収集工数確定レポ、外注計上草案
D-2請求草稿作成、検収書ドラフト共有請求草稿、差異見込み
D-1代理承認適用確認、滞留解消承認待ちゼロ
D一括計上、差異速報発信案件別PL速報
D+3差異レビュー、再発防止登録再発防止カード、KPI更新

SLA例

✔️ 検収依頼共有から24時間以内に承認/差戻し
✔️ 差戻し理由は定型フォームで必須入力

“引き継ぎパケット”標準(1案件1ファイル)

  • プロジェクト概要(目的/範囲/収益モデル)
  • 今月の計上対象★付きWBS・クリティカル項目
  • 計上ルール/検収基準(エッジケースの扱い例)
  • 仕様変更履歴(日時・影響・合意先)
  • 外注・経費台帳(未受領・未計上に⚠)
  • リスクと対応方針(判断原則・過去事例)
  • 連絡先マップ(承認者/顧客/外注/経理)
  • ダッシュボードURLと主要レポートの見方

✔️ 運用Tips: 1ファイル運用・更新日先頭記載・全社共通フォルダ・検索しやすい命名で迷子を防ぐ。

システム活用と90日導入ロードマップ

システム活用と90日導入ロードマップ

システムで標準化を“仕組み化”

  • 案件別予実の一元管理:売上・原価・利益率を自動集計。
  • 未完了タスク可視化:検収待ち、請求草稿、外注計上、承認滞留を一覧で確認。
  • アラート/リマインド:締め前期限超過、差異急拡大、未計上を通知。
  • 代理承認と監査ログ:休暇中の代理運用を安全に。履歴は時系列保持。
  • テンプレ/ルール配布:計上基準・命名規則・書式を組織へ展開。

90日ロードマップ

期間到達点主要タスク
Day 0–30(設計)統一ルール確立D-5〜D+3運用決定/台帳・命名の共通化/RACI定義
Day 31–60(可視化)ダッシュボード稼働未完了タスク可視化/差異KPI設定/アラート閾値決定
Day 61–90(定着)代理運用が回る代理承認設計/引き継ぎパケット運用/月次レビュー定例化

KPI例

✔️ 承認滞留時間 ✔️ 未計上件数 ✔️ 締め遅延件数 ✔️ 差戻し率 ✔️ 差異検知リードタイム

まとめ

要点

✔️ 月末月初の引き継ぎストレスは、人に依存する設計が生む必然
✔️ 標準化・可視化・権限設計で、不在前提でも止まらない月次へ
✔️ システムでテンプレとルールを**“仕組み”に固定**し、説明責任とスピードを両立

弊社が提供するクラウド型プロジェクト収支管理ツール「LEEAD」は、プロジェクト別の予実可視化やステータス管理を一つの基盤で実現し、止まらない月次属人化からの脱却を後押しします。

少しでもご興味いただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

塩塚 丁二郎

監修:塩塚 丁二郎

早稲田大学卒業後、野村総合研究所でSEとしてキャリアをスタート。2015年に独立し、IoTスタートアップ、音声アプリ開発を経て、PM支援・SI事業を軌道に乗せる。電子契約サービスCloudContractの実装、運用を手掛け、2020年からはプロジェクト会計・フォーキャストに特化したLEEADを運営。現在はDX・AI領域、カフェ店舗運営など、複数の事業を展開している。

株式会社ETVOX 塩塚 丁二郎