新規事業型プロジェクト管理会計における「損益分岐点売上高」の計算方法

2024/06/20 収支管理 古谷 幸治
新規事業型プロジェクト管理会計における「損益分岐点売上高」の計算方法

利益が0円のときの売上高のことを「損益分岐点売上高」と言います。

具体的には、売上高がこの額を上回れば利益が出て、この額を下回れば赤字となる基準の売上高のことです。

”利益が出る売上高”とは、”総費用を上回る売上高”ということです。

正確な損益分岐点売上高を知るためには、予想される費用を徹底的に洗い出すことがとても重要です。

新規事業型プロジェクト管理会計の運用について

新規事業 = プロジェクトとして捉えると、費用はその性質によって大きく2つに分けることができます。

それは、「 固定費」と「 変動費」です。

  • 固定費

固定費としてかかる費用をなるべく詳細に予想していきます。

  • 人件費

  • 家賃

  • 広告費

  • 減価償却費 等

  • 変動費

売上に応じた費用になります。

  • 個数及び顧客数 × 原価率 等

特に、原価率はビジネスによって色々な係数になります。

変動費は、売上高が0円のときは0円ですが、売上高が増えれば増えるほど、多くなっていきます。

損益分岐点売上高の算出

これまでに算出した固定費・変動費を活用し、以下計算式で損益分岐点売上高を算出します。

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷{(売上高 - 変動費)÷ 売上高 }

予想売上高の算出方法としては、以下計算式を使用することにより、必要な顧客数・販売個数を把握することができます。

個数及び顧客数 × 単価

以前デジタルデータの販売ビジネス事業をプロデュースしたケースでは、徹底的に顧客数・販売個数にこだわってビジネスを構築したことにより、大きくビジネスを伸ばすことができました。

新規事業の場合、大切なことはトップラインの獲得です。

ポイントは以下のとおりです。

  • 見込み個数及び顧客数をどれだけ確保できるか

  • ビジネスモデル構築上、どれだけの正確な予想ができるか

  • 積み上げた売り上げを確保できるか 等

一事業をプロジェクトとして、項目別に原価を集計していくことが重要 です。

古谷 幸治

監修:古谷 幸治

公認会計士。大手監査法人、M&Aアドバイザリーファーム、外資系証券会社を経て独立。会計監査、買収合併の会計監査、IPO支援、内部監査支援を経験。証券会社では、上場・未上場企業双方の資金調達、合併買収の実行支援、財務モデルの構築からバリュエーションまで幅広く担当。キャピタルマーケットの経験を活かし、CFO経験も有する。

古谷公認会計士・税理士事務所