不動産デベロッパーにおけるプロジェクト管理会計で工夫すべきポイント
目次
現在、とある中堅不動産デベロッパーの基幹システム導入プロジェクトに入っています。
エクセルで管理している自社開発プロジェクトにおける予算の精度が甘く、着地の利益と引き合い時の粗利益が変わることが多く、経営管理として大きな課題になっています。
そこで本稿では、不動産デベロッパーにおけるプロジェクト管理会計で工夫すべきいくつかのポイントについてお話をしたいと思います。
不動産デベロッパーのビジネスモデル
まずは、不動産デベロッパーのビジネスモデルを解説します。
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土地を取得し、そこにマンションやアパートを建てるケースの場合、デザインや雰囲気はどうするのか、大枠を「企画」する
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出来あがった「企画書」はゼネコンに渡される。ゼネコンは、それを見て工事をどうやって行うのか、いくら費用が掛かるのか等の「工事計画」をする
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その「工事計画」をもって下儲けの企業に工事の依頼をする(ゼネコン自身も工事は行う)
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完成した建物はゼネコンが受取り、デベロッパーに納品される
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デベロッパーは不動産販売会社に売ったり、顧客に直接売ったりする
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販売すれば終わりではなく、不動産の場合、予期せぬ修繕・追加工事が発生する
この中で、 しっかりリスクヘッジをしながら追加原価を見積もっておくことが重要 です。
一番大事なポイントは、 PMとして売上と利益の責任を持つこと です。
不動産デベロッパーにおけるプロジェクト管理会計で工夫すべきポイント
次に、予算の策定についてはいくつかの段階があります。
段階的な予算推移をしっかりと意識しておくことが重要になります。
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開発時
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建築発注時
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追加工事時
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販売開始時
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最終追加発注時
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最終販売引き渡し時
また、請負ではないので市場情勢により販売価格が変わります。大前提として、お客様に商品を満足してご購入いただくことが理想的ですが、以下に挙げるようなポイントを抑えておくことが重要になってきます。
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売上高は、開発時のプロジェクト予算を超える販売価格で契約すること
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工事代・追加工事は、交渉をしながらコストを最小限に抑える工夫をすること
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マーケティング費用等は、仲介手数料ではなくストックしたリストの直販で費用を抑えること
この工夫を凝らしたプロジェクトが、開発時に算出した利益を大きく超えていきます。見える化を推し進めると何らかのインセンティブが現場に働きます。
インセンティブの仕組みを念頭に置き、利益を最大化するために工夫を凝らしてプロジェクトを構築していくことが重要 です。
以上、不動産デベロッパーにおけるプロジェクト管理会計の効果を得るために工夫すべきポイントについてご紹介いたしました。
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監修:古谷 幸治
公認会計士。大手監査法人、M&Aアドバイザリーファーム、外資系証券会社を経て独立。会計監査、買収合併の会計監査、IPO支援、内部監査支援を経験。証券会社では、上場・未上場企業双方の資金調達、合併買収の実行支援、財務モデルの構築からバリュエーションまで幅広く担当。キャピタルマーケットの経験を活かし、CFO経験も有する。
古谷公認会計士・税理士事務所