「管理会計」と「財務会計」の違いと使い分けを経営視点で徹底解説

2025/08/27 収支管理 Leead Magazine 編集部
「管理会計」と「財務会計」の違いと使い分けを経営視点で徹底解説

目次

  1. 管理会計と財務会計の違い
  2. プロジェクト型ビジネスで管理会計が必要になる理由
  3. プロジェクト収支管理システムが管理会計を強くするしくみ
  4. よくあるつまずきと回避策
  5. 導入・定着のステップ
  6. まとめ

企業経営、とりわけプロジェクト単位での収支管理を行う組織にとって、「管理会計」と「財務会計」を正しく理解することは、意思決定の質を大きく左右します。本記事では、両者の役割と違いをやさしく整理しつつ、管理会計がプロジェクト収支管理システムと相性が良い理由を実務目線で解説します。

※ 管理会計についてさらに理解を深めたい方は、以下の記事もぜひご参照ください。
経営を支える「管理会計」。その役割と導入メリットとは?
経営の要!管理会計における収支管理の重要性

管理会計と財務会計の違い

管理会計と財務会計の違いを観点別にまとめると以下の通りです。

観点管理会計財務会計
目的経営・現場の意思決定を支援(将来志向)外部利害関係者への報告(過去実績の正確性)
利用者経営陣・事業責任者・現場マネージャー株主・金融機関・監督当局・取引先
ルール社内基準(柔軟・迅速性重視)会計基準・会社法・税法(厳密・比較可能性重視)
対象範囲製品・顧客・プロジェクト別など任意の切り口会社単位・連結ベース
期間週次・月次・リアルタイム四半期・年度など定型サイクル
指標例予実差異、採算ライン、CVP、粗利率・貢献利益売上高、営業利益、資産・負債、キャッシュフロー
重視点スピード・可視化・再現性網羅性・正確性・監査可能性

財務会計が「会社の過去を正しく外部に伝える」ための言語だとすれば、管理会計は「会社の未来をより良くするために内部で使う」思考のフレームです。プロジェクトの採算や“これからの打ち手”を考える時、拠り所になるのは管理会計です。

プロジェクト型ビジネスで管理会計が必要になる理由

プロジェクトは受注・構成・メンバー・原価が案件ごとに変わり、損益の変動が大きいのが特徴です。次の意思決定を誤らないために、粒度の細かい可視化と素早いフィードバックが欠かせません。

  • 着地見込の把握:工数や外注の増減、仕様変更の影響を“今”の数字で掴む。
  • 差異の原因特定:売上タイミングのずれ、原価の漏れ・膨張、按分の妥当性を切り分ける。
  • 単価と生産性の最適化:メンバー別・タスク別の達成率、稼働率、直課・間接の線引きを管理する。
  • 学習の蓄積:見積テンプレートの更新、再発防止策をルール化し次案件へ活かす。

これらはすべて管理会計の領域であり、プロジェクト収支管理を実務で機能させるには管理会計の視点が不可欠です。

プロジェクト収支管理システムが管理会計を強くするしくみ

管理会計と財務会計の違い図

プロジェクト収支管理システムは「管理会計を日々の業務に埋め込む」ための器です。具体的には次のような機能で実務を支えます。

  • プロジェクト別 P/L の一元管理:予算・実績・見込み・差異率を同一画面で把握し、案件横断のボトルネックも見える化。
  • 原価の正確な捕捉:工数(タイムシート)・外注費・経費を標準化し、按分ルールや科目マッピングで漏れを防止。
  • 進捗と収益認識の整合:検収・出来高・マイルストーンなど、案件に合ったルールで売上を適切に計上。
  • ダッシュボードとアラート:粗利率の閾値割れ、工数超過、請求漏れ、計上遅れを自動検知。
  • 学習資産化:案件タイプ別に見積係数・生産性ベンチマーク・想定外コストの“癖”をテンプレ化。

ポイント:Excel のつぎはぎや手作業だと速度・一貫性・再現性が犠牲になりがちです。プロジェクト収支管理システムは、管理会計に必要なデータとロジックを一箇所に統合してくれます。

よくあるつまずきと回避策

よくあるつまずきと回避策

つまずきありがちな状況回避策(管理会計の観点)
原価の取りこぼし交通費・雑費・小口の未計上、共通費の場当たり按分科目テンプレ+按分ルールの標準化/月末クローズチェック
売上のずれ込み検収遅延、計上基準の現場差計上判定の統一(出来高/マイルストーン)+営業・現場・経理の共通運用
工数の実績乖離記録の遅延・粒度不一致タイムシートの入力設計(粒度・締め日)と現場で役立つ可視化の提供
データ分散データが分散・二重管理し数字が信用されない“One Source of Truth”の徹底(収支システム基準で集約)

導入・定着のステップ

管理会計の導入・定着ロードマップ

短期で“見える化”→中期で“仕組み化”が定着のコツです。

  1. ステップ1:現状棚卸と最小構成の設計
    • 対象:プロジェクト→タスク→原価の流れ/売上認識ルール。
    • 最低限のマスタ(科目・案件タイプ・メンバー・単価)を定義。
  2. ステップ2:予算・実績の同一画面化
    • 既存データの取り込み・連携/ダッシュボードの初期設計。
    • 月次の予実レビューを“定例化”。
  3. ステップ3:原価と売上の運用統一
    • タイムシートの締め運用、経費計上の締切・承認フロー。
    • 按分・収益認識のルールをテキスト化しツールに実装。
  4. ステップ4:学習の仕組み化(継続改善)
    • 案件タイプ別の見積テンプレートを更新。
    • アラート閾値・KPIのチューニング(粗利率、直課比率、稼働率 など)。

チェックリスト(着手時に最低限そろえる項目)

✔️ 案件タイプ/収益認識ルール(出来高・検収・マイルストーン)
✔️ 原価の区分(直課・間接)と按分ルール
✔️ タイムシート運用(粒度・締め日・承認)
✔️ 予実レビューの開催頻度と責任者
✔️ ダッシュボードのKPI定義(粗利率・差異率・稼働率 等)

まとめ

  • 財務会計は「外部に正しく伝えるための共通言語」、管理会計は「内部で素早く賢く決めるための思考フレーム」。
  • プロジェクト型ビジネスでは、案件ごとの損益変動が大きいため、管理会計×収支システムで「見える化→差異特定→学習」を日常業務に組み込むことが収益改善の近道です。
  • 弊社のクラウド型プロジェクト収支管理ツール「LEEAD」は、プロジェクト別 P/L、予実・見込み、収益認識、原価捕捉、アラート、ダッシュボードまでを一元化。管理会計の運用を“人の頑張り”から“仕組み”に移し替えることで、意思決定のスピードと再現性を高めます。

これからの戦略実行に向け、管理会計の土台づくりをいま始めませんか。貴社のプロジェクトマネジメントと収益改善をご支援します。

塩塚 丁二郎

監修:塩塚 丁二郎

早稲田大学卒業後、野村総合研究所でSEとしてキャリアをスタート。2015年に独立し、IoTスタートアップ、音声アプリ開発を経て、PM支援・SI事業を軌道に乗せる。電子契約サービスCloudContractの実装、運用を手掛け、2020年からはプロジェクト会計・フォーキャストに特化したLEEADを運営。現在はDX・AI領域、カフェ店舗運営など、複数の事業を展開している。

株式会社ETVOX 塩塚 丁二郎