赤字は見積の瞬間に決まっている!プロジェクト収支管理の成否を分ける見積精度

2025/10/15 収支管理 Leead Magazine 編集部
赤字は見積の瞬間に決まっている!プロジェクト収支管理の成否を分ける見積精度

プロジェクトの収益性を左右する最大の要因のひとつが、「見積もりの精度」です。 どれほど優れたメンバーが揃っていても、見積の段階で原価を過小評価していれば、プロジェクトは開始時点から赤字リスクを抱えることになります。

特に人件費や外注費といった“工数”に基づく原価は、最終的な利益を大きく左右します。 見積のわずかな誤差が、最終的に数百万円単位の利益差となって表れることも少なくありません。

本記事では、「ざっくり見積もり」がどのように損益を狂わせるのか、そして精緻な見積がどのように経営を安定化させるのかを、実務の視点から解説します。

※ プロジェクトの見積精度向上や収支管理の改善に関する基礎知識については、以下の記事もぜひご参照ください。 工数が利益を溶かす、コンサル・Web受託業の収支管理の核心 第3四半期の始まりに必ずやるべき収支管理の確認ポイント3つ

見積もりの精度が経営に直結する理由

プロジェクトの収益構造を分解すると、「売上」と「原価」の2軸で成り立っています。 このうち原価の多くを占めるのが人件費(工数)と外注費です。

見積段階でこれらをどれだけ正確に算出できるかによって、

  • 利益率の安定性
  • キャッシュフローの健全性
  • 受注可否の判断精度

といった経営上の重要指標が大きく変わります。

つまり、見積もりは単なる「営業ツール」ではなく、経営判断の基盤なのです。 精度の低い見積は、後の予実管理・収支管理にも連鎖的に悪影響を及ぼします。

ざっくり見積もりが赤字を招くメカニズム

見積もり精度が低いと、次のような構造的な問題が発生します。

原因発生しやすい問題結果
工数の過小見積実作業が増え、追加費用が発生原価超過・利益率悪化
外注費の想定漏れ発注範囲の拡大・仕様変更に対応不可原価の膨張
見積根拠の不明確さ現場判断での修正が困難原価計上の遅れ、赤字認識の遅延

このようなズレは、「一見順調でも、終盤で赤字が判明する」という事態を引き起こします。 根本原因は、“見積段階での精度不足”にあります。

特にプロジェクト型ビジネスでは、要件が変動しやすく、工数の積み上げが曖昧になりやすいという特性があります。 そのため「ざっくり見積」では必ずと言っていいほど誤差が生じます。

原価見積の精度を高めるための3つのポイント

見積精度を高めるには、単に経験や勘に頼るのではなく、再現性のあるプロセス化が不可欠です。 そのために押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

① 過去実績のデータ化と参照

過去のプロジェクトごとに「見積工数」と「実績工数」を比較し、乖離率を記録します。 これを参照すれば、次の見積時に“根拠ある補正値”を適用できます。

② 見積の分解(WBS・工程別原価)

プロジェクト全体を工程ごとに分解し、設計/開発/テスト/納品・保守といった単位で原価を積み上げます。 これにより、どの工程でコストが膨らみやすいかを把握しやすくなります。

③ 関係者によるレビューと合意形成

営業・現場・経理の三者で見積をレビューすることで、「受注単価は妥当か」「原価は過小ではないか」を多面的に確認します。 これにより、組織全体での収益認識のズレを防ぐことができます。

精緻な見積を実現するためのデータ活用と仕組み化

精度の高い見積を継続的に実現するには、データの一元管理と仕組み化が欠かせません。 Excelなどで個別管理している場合、担当者ごとに基準が異なり、データの再利用性も低下します。

クラウド型のプロジェクト収支管理システムを導入すれば、

  • プロジェクト単位の売上・原価・利益を自動集計
  • 過去実績との比較による見積補正
  • 工数・外注費のリアルタイム把握
  • 予実の乖離アラート機能

といった仕組みを通じて、見積精度をデータドリブンに改善できます。

LEEADでの見積→実績→改善サイクル

LEEADでは、プロジェクト収支管理に必要なデータを一元的に管理し、「見積 → 実績 → 分析 → 改善」のサイクルを自動化することで、属人化しない精緻な見積運用を支援しています。

まとめ

見積もりの精度は、単なる原価計算ではなく、経営の安定性を左右する指標です。 曖昧な見積もりは、赤字の温床となり、企業全体の収益構造を歪めます。

一方で、正確な見積と工数管理が定着すれば、

  • プロジェクトごとの採算性を早期に把握
  • 見積根拠を明確化
  • 利益率を安定化

といった効果を得ることができます。

プロジェクト収支を可視化し、データに基づいて見積を改善することで、「受注すればするほど赤字になる」状態から脱却し、持続的な利益体質を築くことが可能です。

LEEADはプロジェクト単位の収支管理と工数の見える化を通じて、企業の“見積精度向上”と“収益改善”を支援しています。 プロジェクト収支管理に課題を感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。

塩塚 丁二郎

監修:塩塚 丁二郎

早稲田大学卒業後、野村総合研究所でSEとしてキャリアをスタート。2015年に独立し、IoTスタートアップ、音声アプリ開発を経て、PM支援・SI事業を軌道に乗せる。電子契約サービスCloudContractの実装、運用を手掛け、2020年からはプロジェクト会計・フォーキャストに特化したLEEADを運営。現在はDX・AI領域、カフェ店舗運営など、複数の事業を展開している。

株式会社ETVOX 塩塚 丁二郎